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 縁あって、あこがれていた「はゆが」のせんべいを扱えることになった。
 小さい頃から「せんべい」には目がない。
 実家のみやげ屋に丸いガラスの容器で売られていたいろんな「せんべい」は、全部自分のものだと思っていた。
 食べたくなると母の目を盗んでは、どろぼう猫のように盗み食いした。特に「柿の種」が好きで、ザクッと手づかみしては、ズボンのポケットにそのまま押し込み、逃げた。
 たまに、慌て過ぎてフタを閉め忘れることがあり、中のせんべいが温泉特有の湿気で「全滅」し、そんな時は母にひどく怒られた。
その横で父はいつも笑っていた「今度はちゃんとフタ閉(す)めろな」と。
 せんべいを盗み食いするのはOKだが、フタを閉め忘れるのはNG、という考えの、超やさしい父なものだから、僕はその後も安心して盗みつづけ、飽きるまで食べた。
 で、ポケットに押し込まれた「柿の種」はというと、中のゴミ屑と手の汗と湿気で、ベトベトになった。それでも、平気で食べ、柿の種がなくなるとポケットを裏返しにして遊びまわった。
そうするとゴミ屑とせんべいカスが自然に落ちてくれたし、ベトベトの汚い手はというと、もちろんそのままシャツに拭いた。
 今から思うと、なんて恐ろしいことをしていたのかと、戦慄すらおぼえるが、しょう油色に染まった衣服を見、ヒステリックに怒り叫ぶ母を除いた、心やさしき父や兄たちは概ね「好意的」だった…と記憶している。
 しかししばらく経ったある日、学校から帰ると一直線で「オレのせんべい」に向かった。
すると、そこに昨日まであった「せんべいコーナー」が、突然の「羊羹コーナー」になってしまっていた…。 その時、さまぁずの三村がいたら「羊羹かよっ!!」「甘いのかよっ!!」とツッこんだに違いない。
 母の早業で「オレのせんべいコーナー」が忽然と姿を消した現実に、子どもながらに体が震え、愕然とした。

 「アイスも、せんべいも置ぐの止めだわ・・・んだて商売なんねもの…」

あえて「お前のせいで」をはずし、母がつぶやいた言葉に、ダブルで愕然とした。

 せんべいについての思い出は山ほどあるが、湿気ないよう心の丸いガラスの容器に入れ、またの機会に書くことにするが、五十路の今でも「せんべい」は、歯とお口の恋人である。

 そんな僕の「せんべい道」に突如として出現したのが「はゆが」のせんべいだ。
◎
このせんべいは「えんじゅ」1枚126円 他に数種類あり

 尾花沢の農家、押切正行さんが米から袋詰めまで全工程をたった一人で仕上げる。
もちろん、せんべいに使う、しょう油やのり、でんぷんなどは、すべて自分で安全を確認したものを使用している(別冊 暮らしの手帖参照)。まさに「究極のせんべい」なのだ。
 おととい、その押切さんにお会いし、せんべいに対する僕の思いを語り、ご理解いただいたのか、なんとか取引してもらえることになった。
 というわけで僕は、準備が整い次第、生活苦ちい議員のアルバイトとして「はゆがのせんべい売り」になることを決めた。今からでも、ぜひ遠慮なくご予約ください。贈答用にも、おすすめです。

 皆さん、究極のせんべいを、ご賞味あれ。





 
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