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 先日、実家に用事で出かけた。相変わらず「銀山温泉」は、観光客でいっぱいだった。
 用事を済ませ、少し時間があったので、山菜採りでもしてみようということになった。
兄から山菜採りアイテムの用意をしてもらい、さぁ、行くぞとなった時に
「これも持ってげ」と兄が手渡したのは「呼子(ホイッスル)」だった。クマよけ用だという。
「クマなぁ、いだがや~、大げさなぁ」
「クマのなわばりさ、お前ら入っていぐなぁぜ、(持っていくのは)当たり前だべ」
・・・・あ、そうか。そう言われてみるとそうだなと、その呼子を首に下げ、万全の格好で子どもの頃の遊び場だった裏山に入り込んだ。
 でも、昔はクマの事なんか全く考えず、自分の庭のように山中を駆け回っていたなんて、今から思えば恐ろしい事をしていたもんだと思う。
 久しぶりに、入った山は、まだあちこちに残雪があり、ようやく緑の芽が吹き出しはじめたようで
「こりゃ山菜は無理かな」と思った。
 しかしほどなく歩いていくと、深緑色に輝く待望の山菜「こごみ」が、招き猫の手のようにやさしく手招きしていた。
 女房に「ほら、こごみだぞ」と教えると、「私が採るうっ!」と叫ぶが早いか、あっという間に周辺のこごみを小さいものを除けばほとんど採り尽くしていた。
 …女房にとっては、山の神々に対する畏敬の念や、この山に住む生き物たちへの遠慮も何もあったものじゃないのだ。だから「我が家」と変わらぬ自己チューな振る舞いに、たまらず「お前、いい加減にしろよ!」と心の中で、思い切り言ってやった。
 しばらくこごみ狙いで山中を進んでいくと、無謀にも僕より先の方にいた女房が、慌てた様子で
「・・・お、おとーさん、おとうさんっ!」
「どしたぁ~っ」
「シカ…シカかも…カモ…シカっ、カモシカぁ~っ!!」
「え~っ、うそだべ~っ!」
と言ってるうちにそのカモシカは、のそのそと僕の目の前まで歩いてきていた。大きさにするとシェパードほどだったが、なぜか恐怖感は全くなかった。
 むしろ人懐っこさを感じた。わんこを呼ぶように口笛で呼んでみたが、全く見向きもせず、木の幹か何かをかじっている…。
 「あっ、そうだ!」と、慌ててケータイを、とモタモタしているうちに、スッとどこかへいなくなってしまった。
 銀山温泉という山奥で生まれ育ったのいうのに、カモシカを間近に見たことは一度もなかった。それが今回、ちょっと山に入っただけで出会えるなんて、これはすごいことじゃないかと、久々に興奮した。
 それにしても遭遇したのが「クマ」じゃなくて本当に良かった。
 クマだったら今ごろタラタラとブログなんか書いていられなかったし、最悪、病院の天井をながめていたか、幽体離脱していたかもしれない。
 彼らの縄張りに、ずけずけ長靴はいて入り込み、山ほど山の幸を我がもの顔で採り尽くす人間の行為の先には、「対価」として支払わなければならない「何か」があるはずで、彼らのテリトリーは侵さないという配慮をしない限り、「人間の命」は今後も「対価(果たして彼らの対価としての価値があるかわからないが…)」として払いつづけなければならないだろう。

 山菜採りの季節がやってきました。皆さんくれぐれもお気をつけて。

 
 
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