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 10日に、Aちゃんの結婚式があった。格式ある料亭の和風な大広間での披露宴は、落ち着いていて、なごやかで、二人の思いがこもった素晴らしいものだった。

 
 僕は、その新婦側の祝辞を仰せつかったわけだが、実は頼まれた時点から一つだけ「不安」なことがあった。それは、僕が昔から「涙もろい」ってことだった。
 つまり僕は、人一倍の「泣き虫」なのだ。
 本を読んだり、映画を見たりして、ちょっとでもグッとくる場面になると、すぐ涙腺が決壊してしまう。ひどい時には、テレビで盲導犬の番組をチラッと見ただけで、ドドドーンときてしまうのだ。だから「パンパース付きメガネとか、あったらいいなぁ、そうすれば気付かれずに済むのに…」などと、いつも考え、それが製品化されることを切に願っている一人なのだ(誰も願ってないか、そんなこと・・はは)。

 式が始まり、新郎側のとうとうと流れるような素晴らしい祝辞が終わって、あっという間に僕の番がやってきた。
 「ん、心拍数も上がっていないし、大丈夫だな今日は、落ち着いてもいるし…」
と、落語で言えば「枕」の部分をフツーに話し始めた。司会の方が「新婦友人」の僕を、市議会議員と紹介しちゃたので、新庄市の財政などの話を一通り硬めに話させてもらい、その際もまだ、大丈夫だと確信していた。
 しかし、新婦の話に移るにつれ、だんだんと「仮装大賞(テレビ番組)」の得点盤のように、徐々に決壊警報の数値が上がってきているのに僕は気付いた。
 「おっ、来たなぁ、でも、今日はこの辺までだ、はは。今回だけは、涙腺野郎の思い通りには絶対させないぜ!」と決意し、話を続けた。

 しかし、次の瞬間「得点番」に突然、異変が起きた。
「アレッ?」
今まで経験したことのないような恐ろしい勢いで、点数が上がり始めたのだ。
「ど、どうした!さっきまであんなに調子良かったじゃないかぁ…オイッ涙腺、涙腺ちゃん、涙腺様ぁ~っ…や、やめろぉ~っ!!」

 そのあと点数が、得点番を突き抜けるのに、あまり時間は要らなかった。
結果、それまでなんとか繋げていた話は、突然10秒ほど(スピーチの10秒は長いです)詰まってしまい、慌てて「早く、〆の言葉を探さなきゃ」ってことになり、おめでとう!って「つぶやいて」…祝辞を終えた。…ボロボロだった。

 「なんでオレって、こうなんだろうなぁ。祝辞一つもまともにできない…」
 せっかく大役を任されたのにと、自責の念でいっぱいの祝辞だったが、新婦だけは化粧が溶け出すほど涙を流してくれていたので「ま、いいか」と、ずくに気分を変えて美味しい料理をポンポン口に放り込んだ。

 歴史を感じる落ち着いた広間の座敷での披露宴、笑い、泣き、あっという間の2時間だった。本当にいい披露宴だった。

 で、涙腺トラブルのため、言えなかった一言を、ここで。

 何があっても・・・・「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」

 だいじょうぶだよ。



 
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