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 積雪73cm、265kg/㎡(積雪87cm、350kg/㎡)。
この数字は、新庄市の高壇にある防災科学技術研究所新庄雪氷防災研究支所の著名な研究員の方に調査していただいた北本町商店街アーケード上の積雪状況である。





 商店街の中に走る県道の両脇に2本のアーケード(片側約260メートル)がある。東側のアーケードの積雪は73cmだが、西側のアーケードには雪が西から降りつけるので、カッコ内の数字のような積雪がある。1m四方の雪の重さは東と西とでは、85kgもの開きがあるのだ。
 「東側は大丈夫ですが、西側は危険です。早急に雪下ろしをした方がいいです。」
と、正確なデータを示され、ご忠告いただいた。

 早急に作業に取り掛からねばならないが、郊外の大型店やインターネットショッピングなどに圧され、あまり元気がなくなってしまっている商店街には予算も少ない。
「さて、どうしようか・・・」と頭を抱えていたその時、北本町の若連(新庄まつりの山車運営組織)と、消防団の有志が、「日頃商店街には、大変お世話になっているので、是非(除雪の)協力させてください!」と名乗り出てくれた。

 そうして14日の早朝に、11人の有志が一日かけてアーケードの雪下ろしと、排雪作業をしてくれた。
と一行に満たない書き方をしてしまったが、後ほど彼らに聞いてみたら、今回の雪下ろしはとんでもない「重労働」だったそうだ。冒頭に記したように300kg前後の重くて硬い雪を広範囲にわたって片付けたわけだから、並大抵の労力ではなかっただろう。その際、除雪に使用したスノーダンプを3台破損、そのことからも大変な作業だったことは容易にわかった。

 その翌朝、僕のケータイが鳴った。

「昨日の雪下ろしで、店舗前の雪囲いが破損している。早急になんとかしてくれ!」という苦情の内容だった。
すぐに現場に向かい、状況を見、本人がいなかったので、その家族に詫びた。
「すみませんでした。早急に、何とかしますので・・・。」と言うと、
「みんなのために、頑張ってくれたんだから、あまり気にしないで・・・ありがとう。」
と家族からは過酷な除雪を労う、ありがたいお言葉をいただいた。

 有志の1人が、その日のうちに破損した10数ヶ所の雪囲いを片付け、一件落着となったのだが、僕の気持ちの中には、何か言いようのない不快感がこびりついた。

 若連も消防団も、雪下ろし作業に手を上げてくれたのは、商店街の役に立ちたい、という思いからのものであることは紛れもない。それがたとえ「有償」であっても、誰が危険なアーケードの慣れない雪下ろしを買って出るのか。
僕は電話の主に、その彼らの思いを感じ取って欲しかった。そしていくらかの寛容さを持って、苦情の前に「お疲れ様でした」の一言を加えて欲しかった。

 地域がどんなに萎んでいこうとも、地域を思い、地域のために行動する若者に対して、住民はもう少し、理解しようという姿勢があってもいいのではないか。

 もしかすると地域の崩壊は、「外因」によるものだけではなく、「内因」による崩壊という部分も、多くあるのかもしれない。

 今回の調査と、除雪作業に協力してくれた、防災科学技術研究所新庄雪氷防災研究支所の研究員の皆様、若連・消防団の有志の皆様、本当にありがとうございました。
 


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