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 新庄市議会3月定例会が先ほど終わりました。
本日最終日には、前回のブログに掲載した「議案第2号 新庄市一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の設定について」の審議もあり、討論の際に反対の討論をしました。

 僕が、壇上で述べた反対討論の内容は、凡そ以下の通りです。興味のある方は、長いですがご覧ください。

反対討論

勁草会を代表しまして、「議案第2号 新庄市一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の設定について」の反対討論をします。

 この議案の一部は昨年の3月議会にも同じように上程され審議されたわけですが、その際は本会議において反対多数で否決されました。
 あれから、ちょうど1年が経過し、また上程されたということになりますが、1年前と状況は何も変わっていないと思います。地域の経済状況は一向に上向く気配すらなく、それどころか企業の撤退やリストラなどで失業し、将来設計を白紙に戻さなければならない市民が、昨年以上に増えています。
 市民がこのように大変な状況の中で、「時間外勤務手当支給割合の引き上げ」と「給料表の一部改正」についての議案、つまり「新庄市一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の設定について」が出されたことになります。
「時間外勤務手当支給割合の引き上げ」については、国の労働基準法の改正に伴う条例改正ということでいたし方ないと思います。しかし「給料表の一部改正」については、市民が置かれている現在のような厳しい状況下で、そして市民と行政の協働によるまちづくりをお互いが納得した形で進めていこうとしている中で、年間額で71万円程度の増額とは言え、けっして賛成することはできません。

 昨年、新庄富士通ゼネラルが解散し、長年良質な製品生産を担ってきた社員約80名が退職を余儀なくされました。さらに景気の低迷により工業団地に進出している企業の多くが、今までに経験したことのない厳しい経営を迫られていると聞いています。
 社員のために、なんとか存続しようと努力を続け、公的制度や金融機関にすがりながら連日格闘を続ける多くの経営者がいます。また、断腸の思いで、リストラを決行している企業も多くあります。
 その結果、仕事をなくした市民が数多く職を求めており、ハローワークは連日多くの求職者で溢れんばかりの状態になっています。
 先日開催された最上地域雇用創造推進協議会主催の「第2回もがみジョブマッチング」にも100名を超える求職者が参加したそうです。しかし昨年10月に開かれた初回の数字を見ても、求職者数109名で、マッチングが成立したのは、わずか5名という厳しい数字なのです。 
 先日、仙台に住む友人に会ってきました。失業中の彼は3ヶ月間積極的に求職活動を続けていますが、現在も全く就職できないでいます。そんな彼の口からは「だんだん、探す気力がなくなってきた。もう、ムリだね…」という元気のない悲痛な言葉がボソッと出てきました。彼に限らず、このように仕事先が決まらず、次第に仕事に就く気力さえも無くしていく人たちが全国的に急増しているのです。

 流通関係者によると、新庄市ではスーパー全体の売り上げが低迷し、この度の年末年始期間の売上高は、軒並み対前年比10%も落ち込んだのだそうです。これは、景気悪化の状態が続いていて、市民が出費を必要最小限にしようと買い控えをしていることが要因ではないか、とのことでした。
 このように冷えきった景気の中で、ひたすら耐えながら暮らしている市民、長い間その市民を相手に商売を続けてきた商店街、懸命に得意先や金融機関などを駆け回る経営者、そして就職したくても全く採用先が見つからず、次第に無気力になっていく市民、などの方々のことを考え、さらにこの戻そうとしている給料はそんな厳しい状況の中から納税される税金なのだと考えると、職員一人当たり200円から2000円ほどの上げ幅だから給料表の改定をしたいのだと、何度説明を受けても、市民の負託を受けた議員の一人として、この議案には、賛成しかねるのです。

金額の多寡の問題ではないのです。

 議会は全国的に改革が急速に進んでいます。しかし国民は、改革が進まない議会のことを、残念ながら「執行部の追認機関」と揶揄しています。我々議会は多くの市民がこれ以上失望することのないような、十分な議論を重ねた上での、「市民本位」の選択をすべきではないのでしょうか。

 地方公務員法の第14条1項に
【地方公共団体は、この法律に基づいて定められた給与、勤務時間その他の勤務条件が、社会一般の情勢に適応するように随時適当な措置を講じなければならない】とあり、
 また地方公務員法第24条3項には
【職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない】とあります。

 そして、国には人事院があり、「人事院勧告」があります。その勧告は地方の情勢には合わない場合があり、その地方情勢をより考慮し、勧告する機関として各県には、人事委員会があります。その勧告どおりに従うことが「情勢に適応し」、「事情を考慮している」ことになる、との考えで、市長以下執行部は改正しようとするのだと思います。
 それならば、国や県よりも、新庄市内の情勢や事情を、最も把握しているはずの「新庄市自体」が、生計が厳しくても納税義務を果たす市民の現状や感情を考慮し、市職員の給料に反映させるべきではないのでしょうか。
 そのような「市民本位の感覚」が欠如しているとすれば、すべての施策や事業に影響し、市政は市民が望む方向と、かけ離れたものになってしまうのではないかと危惧するのです。
 
 ちょうど1年前の3月議会で、なぜ、あれほどの勢いで反対したのでしょうか。1年で何が変わったのでしょうか。その理由には、市民にとって、どのようなプラス材料が盛り込まれてきているのでしょうか。
 あの時に多くの議員が反対した動機は、職員組合の機関紙の中に、議会に対して適切でない文言があったからでしょうか。また、執行部の議会に対する姿勢が、納得いかなかったから、というただそれだけの理由だったのでしょうか。
私はそうではない、と理解しています。
 議員それぞれが、我慢を続ける市民の声に耳を傾け、地域の悪化する景気状況を肌で感じ取り、市民と行政との溝をこれ以上拡げることのないような選択をしたのではなかったのかと、認識しています。

 何度も申し上げますが、新庄市の景気は一昨年よりもさらに、多方面において悪化しています。また市の財政再建にしても早期健全化団体から脱しただけで、県内13市の中では、財政的にもっとも厳しい状況にあり、まだまだ財政再建の道半ばであることには変わりありません。
 そのような中「有能な人材が獲得できない」「職員の士気が下がる」「若い職員が可哀相だ」「昔は公務員の給料が民間より低かった」、さらには「新庄市として対外的に恥ずかしい」などという理由で、この議案に賛成するというのは、市民が置かれている厳しい現状や、市民の悲痛な叫びに背を向けながら、選択をするようなものです。

 市長は施政方針の中で、新庄市の厳しい現状を「雇用・所得といった不安要素が市民生活を脅かしています」という言葉で表わしています。さらに「行政だけが公共サービスを担うのではなく、市民と協力して課題解決に取り組むことが不可欠」と、今まで以上に市民の協力を求めています。
 それならば尚更、リストラで失業し、その後、職にも就けず、予想すらできなかった現実の中で、我慢の暮らしを続けている現役子育て世代をはじめ、多くの市民に対して、行政として誠実な行動をとるべきではないでしょうか。
 そして、その市民に対して、明確な説明が出来ないような議案であれば、私たちは一年前と同じように反対の立場を選択すべきだと考えます。

以上、勁草会を代表しまして私の反対討論といたします。
ご静聴ありがとうございました。 

 という内容でした。討論の後、起立採決になり、僕と遠藤議員(奥山議員は病欠)の2名が、この議案に反対し、あとの議員は「全員賛成」しました。

 こういうことになると、予想はしていましたが「無念」というほかありません。「もしかすると他の議員に理解してもらえるかも」という一縷の望みを持って「反対討論」に臨んだのですが、ひっくり返すことはできませんでした。
 議員には市民に対して「賛否の理由」を説明する責任があります。今回のことを、市民に、また、支持者に、どのように説明しようというのでしょうか…。

 現在、放心状態のような感じでキーボードを叩いていますが、どのようにすれば、僕の思いを理解してもらえたのでしょうか。妙案をお持ちの方がいましたら、遠慮なくご指摘ください。

市民の皆さん、「市政の信号を変える」なんて壮大なスローガンで当選させてもらったのに、本当に「無力さ」を痛感しています。情けないです。本当に申し訳ありませんでした。




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