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 パソコンの画面から視線を少しだけ上にはずす。窓外には、何本もの線路や赤レンガの格納庫が見える。いつもどおりの変わらない風景がそこにある。


 この家には26の頃から「棲み」ついているが、パソコンを今の位置にしたのはいつだったろう…。あばら家ではあるが別に仕事部屋もある。しかし、いつの間にかこの場所でキーボードを叩くようになった。

 そこからの眺めが、とんでもない贅沢なものだということに、最近ようやく気付くことになった。

 というのは、鉄道愛好家の友人と久々に一献傾けた時、「鉄道マニアからすれば、すばらしい場所なのだ、新庄は。全国からいろんなディーゼル機関車が集まる。マニアはよくそれを知っていて、多くの人が新庄にやってくる。それにSLも走るし…地域を活性化するならこれを絶対利用すべきだ。」と熱く話してくれた。

 その話を聞いてから、あらためて窓外に目をやると、なるほど様々な機関車の往来がある。そういえば昨年のつばさ新庄延伸10周年の記念イベント前後には、懐かしい汽笛とともに蒸気機関車を間近で毎日見ることができた。格別、鉄道ファンではないにしても、今までどうしてこの「贅沢さ」に気付かなかったのだろう。

 たった今陸羽東線を走る「みのり」が赤レンガの中にゆっくりと入り込んでいった。次の出番まで「体調」を整え、リフレッシュしてまた乗客を楽しませてくれるのだろう。

 春風を受け、庭にあった大量の雪はあと残りわずかとなり、桜も「出番」を前に少しずつつぼみを膨らませはじめている。その桜の木とともに大きくなった子どもたちは、それぞれがひとり立ちしていった。「光陰矢のごとし」とはよく言ったもので、瞬く間の出来事である。

 ある日、縁あって棲みついた「獏」は、今ごろになってようやく、目の前にある「贅沢」をしみじみと感じられるようになった気がする。

ありがたや ありがたや。








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