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2010.05.05
花より…
風邪も治りかけた昨日の夕方、思い立って秋田角館の夜桜を観に出掛けた。
今まで何度か角館には行ったが、いつも日中の明るい中で咲き誇る桜しか見物できなかった。だからあの武家屋敷の黒い闇の中に咲く桜はどんなものなのか、一度観てみたかった。
7時過ぎに着き、早速街灯ひとつない武家屋敷の通りをゆっくりと歩き始める。G.Wということもあり暗闇の中には多くの人がカメラ片手に蠢き、ぼんやりとライトアップされた枝垂桜を撮っていた。通りを進むにつれて次第に人の気配はまばらになり、人は闇の中に溶け込んでいく。
黒く重い闇に咲く枝垂桜は妖しく、不気味な存在感を見せている。ふと梶井基次郎の「桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている…」という文章が脳裏に浮かぶ。夜桜を楽しむために、わざわざ新庄から車ぶっ飛ばしてやってきたのに、いつのまにかゆっくりとしていた足取りは、普段と変わらぬテンポになっているのに気がつく。
そこからは一応、桜を眺めてはいるものの脳裏にうまく転写できないような、今まであまり経験印したことのない可笑しな感覚がしばらく続いた。ようやく素の状態に戻れたのは、土手の桜並木にたどり着いてからだった。
この時とばかりに輝く屋台の強い照明と鼻腔を攻めるきりたんぽの香ばしい匂い、その手にまんまと載せられながらも満足げな花見客の増幅された声や音で、やっと救われた思いがした。
今回の夜桜見物で確信した。つくづく僕は「花よりきりたんぽ」な男だということ。
あぁ、美味かった。
7時過ぎに着き、早速街灯ひとつない武家屋敷の通りをゆっくりと歩き始める。G.Wということもあり暗闇の中には多くの人がカメラ片手に蠢き、ぼんやりとライトアップされた枝垂桜を撮っていた。通りを進むにつれて次第に人の気配はまばらになり、人は闇の中に溶け込んでいく。
黒く重い闇に咲く枝垂桜は妖しく、不気味な存在感を見せている。ふと梶井基次郎の「桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている…」という文章が脳裏に浮かぶ。夜桜を楽しむために、わざわざ新庄から車ぶっ飛ばしてやってきたのに、いつのまにかゆっくりとしていた足取りは、普段と変わらぬテンポになっているのに気がつく。
そこからは一応、桜を眺めてはいるものの脳裏にうまく転写できないような、今まであまり経験印したことのない可笑しな感覚がしばらく続いた。ようやく素の状態に戻れたのは、土手の桜並木にたどり着いてからだった。
この時とばかりに輝く屋台の強い照明と鼻腔を攻めるきりたんぽの香ばしい匂い、その手にまんまと載せられながらも満足げな花見客の増幅された声や音で、やっと救われた思いがした。
今回の夜桜見物で確信した。つくづく僕は「花よりきりたんぽ」な男だということ。
あぁ、美味かった。
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