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 特に東北の田舎じゃ、ムリだ。
今年の夏に、滋賀県にある全国市町村国際研究所、通称JIAM(ジャイアム)の主催する市町村議会議員特別研修「社会保障・社会福祉基本コース」に参加を申し込んだが、申込者多数のため抽選で落とされた。やむなく秋に再度募集していた「社会保障・社会福祉コース」という中級コースに申し込み、ようやく参加できることになった。
 そこまではいいのだが…。

 問題は、現地まで往復の交通費や諸々にかかる「お金」である。飛行機や新幹線を利用すれば、いくら安くしたとしても4万円はかかる。夜行バスも考えた、でも着いたはいいが、研修で居眠りしてましたじゃ、意味がない。
 ない頭でいろいろ考えた挙句、結局僕のおんぼろ車で行くことに決めた。研修の期間は8日(開講式)~12日(閉講式)までの5日間だから、7日(日曜)のうちに高速を使って現地に向かい、14日(日曜)に新庄に戻ることにした。そうすれば片道1200円、往復で2400円の高速料金しかかからない。ガソリン代は往復約1500キロ~1600キロだから、給油3回分でなんとか戻れる。
 そう計算して7日の昼に新庄を出た。最初は快調に鶴岡を越え、日本海沿いの道路を走っていたが「いきなり」瞼に鉛のオモリが載っかったように前方の視界が暗くなった。睡魔である。今まであまり経験したことのないような眠気に、辛うじて視界に入ってきた「P」の標識で救われ、停車するかしないかで、仮眠どころか「爆睡」をしてしまった。
 7号線を行き交う貨物トラックのタイヤとエンジン音で目が覚めたのは2時間後くらいだったろうか。やっぱり昨日の酒宴が効いた。帰宅したのが1時過ぎ、眠りについたのが2時近くか。それで朝5時に起床して「ゴミ拾い」、瞼に鉛が貼りつくわけだ。
 「やっぱアホだな、オレ…」
 などと後悔していても目的地には着かないので、水分を摂りまた7号線に戻り、はるか遠くの「琵琶湖」を目指しアクセルを踏んだ。
 新潟市まで来ると夕陽は半分沈みかけ、ここから先は徐々に夜景のドライブに入っていく。それにしても夕陽の素晴らしかったこと、思わず両手を合わせ「無事に着きますように」とお願いをした。時速約90キロで走行中、そんなことすること自体、無事に到着する確立を著しく下げていたわけだが、あまりの光景につい、やってしまった。
 長い新潟県を過ぎ、富山を抜け石川に入った頃には、もうアクセルやハンドルの感覚がおかしなことになった。当然時間の感覚も変な感じになり、決して嫌ではない、何か気持ちのいいような「ハイ状態」のようになって…
感覚としては「あっという間」に着いた、そんな感じだった。
 夜10時過ぎ京都南インターを降り、その夜は京都で暮らす長男坊主のところに泊めてもらい、充分な睡眠をとった。翌日、道に迷いながらも(カーナビなんて、とても買えません)なんとか、滋賀県大津市にある研修所に無事到着した。

 全国から参加した議員の皆さんからは「山形からクルマで?!」とビックリされ、「おー、そうだよ、それも一番北にある市からだよ!」などと怒鳴ることもなく「そうなんです、お金がなくて…。」と笑みを浮かべて答えた。「またまたぁー、お金いっぱいあるって顔してますよ。ははは…」
はははって、顔が大きいだけで金持ちって判断しないで欲しい。でも、みんなの反応は「北方からクルマでやってきたアホ議員」ってことで悪くはなかったようだ。
 研修内容は「社会保障・社会福祉」についてだが、全国から参加した63名の議員は相当の専門分野であるらしく、テーマごとの講義が終わると講師にかなり専門的な質問をバンバンしていた。僕はといえば、講義についていくのが精一杯で、質問どころではなかった。情けない話だが、よくわからないところを挙手して質問などすれば「こいつバカか」と言われかねないと、ひたすら「聴講のみ」の姿勢で臨んだ。
 ただ、最終日に班ごとの演習テーマを発表しなければならないので、そのテーマの「想定自治体」をどこにするかという時に「是非、財政厳しいわが新庄市をおねがいします!」と手を挙げ、新庄市を分析して今後の市の課題について議論することになった。
 毎日の講義は朝9時から夕方5時までビッチリ、食事の時間を除けば殆どが「テーマ」についての分析や議論だった。大好きなお酒を口に出来るのは、寝る前のチョビッとだけだった。
 が、班の課題発表の準備を終えた、11日夜は「お別れ会」ということだったのか、思いっきり居酒屋で飲んだ、みんなで爆発したみたいに飲んだ。
 翌朝目が覚めると、ちゃんとベッドに寝ていたのでホッとしたが、どうやって居酒屋から11時の門限に間に合うように帰り、どう部屋に戻ったかは断片的なところ記憶はあるが、殆ど憶えていない。それぐらい飲んだ。ただ、最高にいい仲間に出会えて、うれしくて、最高の時を共にすることができたという、あり余るほどの満足感だけはしっかりと記憶している。
 その日の発表は、宮崎の山口さんがやってくれたが、僕は、吐きそうになりながら何とかその場を乗り切ることだけを考えていた。本当に情けない。
 しかし無事発表を終え、各班の発表の際にもトイレに駆け込むこともなく、耳を傾けなんとか研修を終了することができた。わが班の座長、地元滋賀の佐々木さん、佐賀の下村さん、福井の水上さん、島根の嶋田さん、京都の村尾さん、兵庫の西濱さん、広島の益田さんには、本当にお世話になった。前夜の飲みすぎた部分を除けば、実に内容のある、充実した研修だった。これから地方の状況は益々厳しくなってくるだろう。そんな中で政治家は、議員はどう活動すべきなのか。現時点で「痛感」していることは、めまぐるしく変化する世界や国の政策、社会状況などを的確に把握し、一地方が生き残るためには何を選択すべきかがわかる政治家にならなければ、「無用」だということだ。ただ冠婚葬祭などに顔を出し、気の利いた挨拶などに心血を注いでばかりいる政治家では通用しないということだ。
 できることなら別のテーマの時に是非また受講したいし、今度は仲間の議員(実は、奥山議員は都合で参加できなかった。)も誘ってみんなで参加したいと思う。

 それにしても、問題は、参加するためにかかる「費用」である。市民の多くは「お前らにやる金はない」と言っているし、また「もっと働け」とも言う。まるで重い荷を載せたロバに、ビシッビシッとムチを打ち「ほら、動け!」で「動くためのエサはやらん」と言われているような、そんな気もしてくる。
 因みに今回参加した議員の皆さん殆どは政務調査費や、派遣費用で参加していた。自費で参加していたのは僕と、滋賀近県の議員の皆さんだった。
 「政務調査費で来ればよかったでしょー」と言われ「ひと月5000円ですよ」と返すと「……」と、沈黙していた。また、町村議会には政務調査費はないが、こういう研修の時は、もちろん公費で参加できる。今回の僕の場合は新庄市議会議長名で申し込み、JIAM(ジャイアム)から議長宛に参加できる旨の書面をもらった。なのに「自費」である。このことを知った他の議員もみな不思議がっていた。たとえ財政難でも、かけるべきものにはかけないと将来必ずしわ寄せが来るのではないだろうか。職員研修だってそうだ。市職員約320人で年間の研修費はたったの120万円ほどである。やる気のない職員に無理矢理研修させる必要はないが、やる気のある若い職員はたくさんいるのだ。僕は議員になってからずっと議会で職員研修費の増額を提案していたが、ようやく今回の120万円(総務課長は倍額にしたぞ!って感じだった)である。前年まではなんと、約60万だった。前総務課長の言うとおり金額の多寡ではないかもしれないが、益々大変な時代に突入していくのに、この予算である。
 グチになるが、僕はひと月約27万円をいただく。その中から、本屋をたたんだ時に残った借金の返済で毎月11万数千円が引かれる。残額から税金、国保などを収めねばならないが、夏冬の手当てが出るまでは払えないので待ってもらう。生活費は、極力質素にはしているが、議員ということもありそこそこの格好はしなければならず、出費がかさむ。そして問題の冠婚葬祭である。「頼むから、お亡くなりにならないで…」と念じてはいるが、こうも気候がおかしいと、通じない方が多い。結婚式もできれば「お慶びは、家族だけでそっと…おねがい」と思っているので、招待状が来ないかというと、カネには恵まれないが、すばらしい友人だけにはオソロシく恵まれていて、やっぱりソレが来てしまう(も、もちろんウレシイのですが…)。本当に今なんとか暮らしていることがフシギなくらいだ。
 それでも、あんなにいっぱいの市民から期待されて議員にしてもらったのだからと、やれるだけはやっているのだが、やっぱりちょっとキツイかなぁ。


 僕のケースはレアだと思いますが、議員がいろんな要因であんまり勉強しなくなると、とても都合がよくて、ラクになるところが確実にあります。それは「市役所」です。これを市民の皆さんはどのように考えますか?







 
 
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