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 今日は朝から大事な用事があり、「日課」のゴミ拾いには出掛けられなかった。でも昼前にはその用事も無事に終わり「さぁ、溜まりにたまっている商店街の仕事しなくちゃ!」と気合を入れているとポケットの中でケータイが鳴った…。
 「土内さ行ぐぞ!早ぐ来いよ!」

 ストレート過ぎるその電話は、I先生からである。彼は「小水力発電プロジェクト」には、なくてはならない人物である。産業高校を2年前に定年退職した電気のエキスパートで、このプロジェクトのほとんどの部分は、彼の手によるものである。で、僕はどういう役回りかというと、気取って言えば「サポート要員」というところか。でも、実態は大学体育会の4年と1年の関係とほぼ同じである。
 朝飯も口にしておらず、「山奥」で何かあったらマズイ、と帰宅し釜の飯をヘラで口に押し込め「完全防備」で出陣した。


 現場は土内集落より2キロ奥にある。もちろん除雪は集落の端までで、そこからは徒歩で、積雪が30センチ程度の場合は、1時間強かかる。現在現地の積雪は1.5メートル、もし徒歩で向かえば、おそらく文字の通り「帰らぬ人」になるだろう。

杉林
ここは1.5キロ付近、この杉林を越えると実験ハウスの明かりが見えてくる。


 降雪前から、どうやって現地まで行くかを考えていた。それより以前に僕は、その場所での実験には反対していた。あまりに奥にあり過ぎて、頻繁にデータ収集が出来ないと容易に予想できたからである。しかし、その現場の水量、落差などのことを考えると、発電量は申し分ないはず。なんとも僕らのプロジェクトとしては魅力的な現場なのだ。結局「50過ぎまで生きれたし…豪雪の中で死ぬのもいいか」と、承諾した経緯がある。
 その最大の課題を解決するには、スノーモービルをなんとか入手しなければならず、レンタルや中古を探しまくったけれど中々見つからない。そんな追い詰められた状況など全くお構いなしに、冷たく、音なく、雪は積もっていく…。
 しかし、神さまがあまりに不憫だと思ったのか、突然、中古スノーモービルの売り手が尾花沢に出現した。最終的にその購入を決めたが、僕らにしては実に大きな出費だった。しかしすべては、プロジェクト成功のため、雪深い中山間地集落再生のためなわけで、即金で即日新庄に持ってきた。

いずみ
これがスノーモービル。あまりの「悪路」に、さすがのI先生もひっくり返った。


 話を戻す。
土内に到着したのはお昼過ぎ、「行き止まり」でスノーモービルを待った。耳を静かに山奥の方へ向けるとはるか遠くからエンジン音がかすかに聞こえてくる。雪原を向かってくる姿は、荒波の中の水上スキーのようだった。
 操縦するI先生の後ろにしがみつき、何度もひっくり返りそうになりながら、顔は雪まみれになりながら…ようやく実験ハウスに到着した。そこは雪に埋もれていたが、「融雪シート」の効果で入り口には全く雪は積もっていなかった。これに使用している電力はもちろん「水の力」で発電したものである。

ハウス

ここが農業ハウスの入り口。約5kw/hの電力を利用して、常時ハウス内の室温、土温などを管理している。入り口にある白い網状のシートは「融雪シート」。優れモノである。

 前日、別の用事で土内集落を訪れた際、80歳を越えたばあちゃんが、屋根から落ちてきた大量の雪を片付けていた。そのばあちゃんが作業をしていた場所は、僕の目線より高いところ。

「ばあちゃん、大丈夫だがー?無理すんなよ。」

「無理すんなつったて、オラひとりだもの、すねわげいがねーっ。」

「落ぢできたら、大変だぞー、気ぃつけろやー。もう少しで雪かきしなくていいようにしてけっから。」

「…ンだが。待ってッがらなー。」

怪訝な顔をしながらも、そう返事するばあちゃんは、おそらく信じてくれてはいないと思うが、僕の気持ちにウソはなかった。というか、ウソつきにならないようにしなければと強く思った。
 2年前に専門家による発電可能性の予備調査をしてもらったが、土内集落のすぐ側を流れる土内川本流の落差と水量を利用して効率よく発電をすれば「数100kw/h」の電力が発生するという。

なんとか小水力発電で、あのばあちゃんを助けないと…。



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