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2011.01.27 「雪中行軍」
 別に大勢で歩いたわけではないから、正確には「行軍」ではないのだが、積雪2メートルを超えた新雪の山道は想像を超える厳しいものだった…。
 いつものようにI先生からの電話が鳴った。
 今日はなぜか「行ぐぞ!」ではなく、「行って貰えないかなぁ。」みたいな、あまり彼にはふさわしくないような、やさしい「お誘い」だった。「ん?不気味な感じがする」と思った。

 土内の所定の場所に到着したのは2時。そこから「かんじき」を履き歩くこと1時間、ようやく小水力発電プロジェクトの実験現場のライトが見えてきた。

「ここからが遠いんだよな」とI先生。

 目前にあるのに、なかなか辿り着けない。「かんじき」を着けてでさえ、ひざ上までズブズブと雪に沈んでしまう状況の中、農業実験ハウス入り口の取っ手に手をかけるのには、それからおよそ30分もの時間を要した。
 日没まで時間もないので、休む間もなくI先生は栽培している野菜の植え替え作業に取りかかり、僕は約6メートル下の川から水を汲み、給水タンクを満杯にした。

 それにしても入り口に敷いてある「融雪シート」の威力は凄まじい。周囲の積雪は約2.3メートルだが、そこには全く雪がない。その上、屋根からの落雪もある軒先も「無雪」の状態である。その部分だけ「春」なのだ。
 これさえあればどんな豪雪地域でも玄関付近などを「無雪」にできる。その電力を「自前の小水力発電」で賄えるなら、今までよりずっと快適な冬になるはずである。全国の豪雪地帯は、災害としての雪に毎年のように頭を抱えている。もしこのプロジェクトに成功すれば、日本海側豪雪地住民の冬を劇的に変える、ことになるかもしれない。

 豪雪地域が「自前の電力」を手に入れれば、国や県の役人たちに「お荷物」的な扱いを受けなくてよくなる。そう遠くない日には、助成金などの「施し」的なモノも、胸を張って「いらねぇよ」と言える日が来るかもしれない。それを僕らは実現したいのだ。かつて「裏日本」と蔑視されてきた地域を「水の力」で、新しい夜明けとなるようにしたいのだ。

 ひととおり必要な作業を追え「かんじき」を再び履き直し、来た足跡に沿って歩き始めた。来る時と違い、帰りは結構歩き易かった。しかし容赦ない降雪は僕らの体温を著しく奪った。「大丈夫かなー、ヤバイぞこりゃ…」とやや不安になりかけたが、なんとか土内集落の明かりが見えた頃には、とっぷりと日が暮れていた。そこから30分黙々と歩き続け、クルマに乗り込んだのは6時少し前だったろうか。
 今回は相当にきつかったが、へこたれることは絶対出来ないのだ。それは、土内で雪片づけをしていたおばあちゃんとも「約束」をしたし、僕らが目標とする「ユートピア」を、実際この目で見てみたいためだ。だから役人たちから「バカか」と言われようが、やり続けるのだ。何度も、何度でも目的を達成するために「雪中行軍」を続けるのだ。

 「寝ていて人を起こす勿れ」これが、今の僕の「アリナミンA」だ。自分は何もしないで、あれこれ指図ばかりしているような人間には、絶対になりたくない。
 そういえば県議会議員I氏の後援会事務所の開所式に出席した時、壁面に大きくスローガンが掲げられていた。そのフレーズに、僕は心が熱くなった。

「あきらめない 希望はつながる まず動く!」


【25日、土内集落において自宅屋根の落雪によりお亡くなりになられた大松キヌ様に、こころよりご冥福をお祈りいたします】


 
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