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2011.10.29
TPP交渉参加について
今、TPPへの交渉参加について、日本中を真っ二つにするような論戦がなされている。あたかもそれは、農業vs工業界の構図のようだが、決してそうではないことは、周知のことだろう。
今回の9月定例会で、新庄市議会は全会一致でTPP参加に反対する意見書を提出することを決めた。以下はあくまで僕のTPPに関する予測と考え方である。
TPPはもともと、チリ、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイの4国間で2006年に交わされた環太平洋経済連携協定で、輸出入の際、品目の中に例外を少しは認めるのか、それともまったく認めないのかという点で、かなりシビアな協定と言われているFTAよりも、もっと厳しい協定の内容である。厳しいとは言え、どちらかといえば小国間同士で、経済に関する過不足を補い合いながら、自国経済を安定させようという協定なはずだった。TPP(トランスパシフィックパートナーシップ)は、字のごとくパートナーシップを目的としていたはずで、決してそこには「戦略的」な要素は含まれていなかったと、認識している。
ところが、ある大国がその協定に目をつけ2009年に参加の意思を表明した。そこから「戦略的」変質をしはじめる。その大国が「アメリカ合衆国」である。このアメリカが参加を表明すると、世界がこの制度をにわかに注目し始めた。その後オーストラリア、ペルー、マレーシア、ベトナム(順不同)が交渉に参加してきて、現在9カ国が参加交渉を続けている。しかしEUでは参加に理解を示す国はなく、先日アメリカとFTA締結を決めた韓国や、経済成長著しい中国も参加しようとはしていない。
では、なぜこの協定にあのアメリカが参加しようとするのか。そこを考えると、この協定の中身の全てを理解しなくても、非常に危険な協定であることくらいは、見えてくる。大国アメリカの現状はというと、それこそ周知の通りの末期的な状況である。あえてドル安にし、それを「ガソリン」として、国内で製造、生産された製品、産物の輸出を「爆発的に」増大させ、今の危機を乗り越えようとしているのだ。しかし大国アメリカの思惑は、それに留まらず、金融、保険などの市場をもターゲットとしていることは間違いない。とりわけ日本がその標的として想定されている。わが国の郵貯、簡保などを、削り落とし、崩して、その資金をアメリカに「盗り」入れようとしている。
「TPPに参加しないと、日本は取り残される」というような危機感をあおる言葉を発している政治家や経済界のトップがいるようだが、どのような流れから「置いて行かれる」と決めつけているのだろうか。現在TPPの参加交渉の輪に入っている国は9カ国、その国の6カ国と日本は「EPA経済連携協定(二国間の貿易や人材、投資などで、一部例外のある自由貿易協定)」を締結している。日本が締結していない国はオーストラリア、ニュージーランド、そしてアメリカである。その他わが国は「WTO世界貿易機関」、「APECアジア太平洋経済協力会議」などにも参加している。特にWTOの中では、EUの食料輸入の多い国などと結束し「自国の農業」を守るために結構奮闘しているのが日本なのである。そのWTOの中で日本を激しく攻め立てている国が、実はオーストラリア、ニュージーランド、そしてアメリカなのだ。この構図ひとつとってもTPPに参加すれば、交渉の結末がどのようなことになるのかは、瞭然のことではないのか。
TPP賛成の皆さんは「交渉に、参加するだけなんだ。後は、それこそ交渉でしょうが…」みたいなことをよく言っている。しかしこの国に、外国としっかり交渉できる能力は、果たしてあるのだろうか。今までの歴史の中でも日本が有利に運べた外交はあったのだろうか。戦前戦中はあったかもしれないが、現在はといえば、ほとんど無いといってもそれほど怒る人はいないだろう。そのような外交の能力しか持っていない国が、自国の損益につながる条件に対して「NO!」とは言えるのか。
「NO!」と言えるとすれば、決してその人物を尊敬はしていないが、政治家では石原都知事くらいしか、いないのではないか。せめて「NO!」とは言えないが、老練な交渉術を駆使できるという政治家がいれば何とか「絶滅」は防げるかもしれないが、そのような人材も今のところ、この国には見当たらない気がする。こうなるともう「交渉」ではなく「言いなり」の状態になってしまうのだ。「そんなことはない!」とお怒りになる方もいると思うが、現実は、そのようである。「食べる食べないは別として先ずはテーブルにつく」などという恐ろしいことを言わず、星型斑点のどう猛な怪獣が待つ、その部屋には近寄らないほうが、今の日本政府の現状では、得策ではないだろうか。
因みにTPPの中味は、農産物に限らず、商品、製品、人材、医療、金融、保険、その他のサービスなどなど、それこそ例外のない、つまり全てにおいて、国内産業を保護するために必要な規制をなくさせ、関税のかからない状態で輸出入がなされてしまうのだ。これによって一部を除くほとんどの農産品は、おそらく壊滅的な被害を被ることになる。そして関税のない輸出でかつてないほどの増収増益を狙う企業では、締結初期には「あめ玉」のような利益が舞い込むはずである。しかしグローバルな市場競争に、さらに突入することになるため、今以上の効率化を進める必要が出てくる。その結果、空前絶後の「大量人員整理」が決行されるだろうと予測される。それはなぜか、企業には、生き残るための低賃金労働力が不可欠となり、その労働者をTPP加盟国から大量に呼び寄せる可能性があるからである。そうなれば、企業は生産拠点をアジアに移す必要性はあまりなくなり、より効率性の高い経営が可能になるのだ。実はその辺りが、経済界の思惑の、隠された大いなるメリットなのかも知れない。
輸出関連企業の株主様は喜ぶと思うが、今でさえ失業者が増え、生活保護世帯が激増しているのに、さらに爆発的な激増となれば、民生費にかかる予算は跳ね上がり、国の借金が900兆円に迫る日本は、今のギリシャを越える惨状となるのではないだろうか。
僕が、少し考えただけでも、これほど危険な協定というのがTPPだと思います。皆さんはどのような考えをお持ちでしょうか、お聞かせください。
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こっこ
T(ただの)
P(ペテン)
P(パートナーシップ)
だそうです。
ある民主党議員は「アメリカ様に逆らうのは
50年早い」と言ったとか。
政権交代は一体なんだったのだろう。
いつから日本人はこんなに情けなくなったのか。
P(ペテン)
P(パートナーシップ)
だそうです。
ある民主党議員は「アメリカ様に逆らうのは
50年早い」と言ったとか。
政権交代は一体なんだったのだろう。
いつから日本人はこんなに情けなくなったのか。
2011/11/01 Tue 11:17 URL [ Edit ]
owendancho
TPP賛成です。グローバル化に耐えられないような自国農家からしか買えないのは消費者として不利益をこうむっていると思います。国産で高くてものいいものがあれば買うかもしれませんし、安いものを買う機会は奪わないでほしいです。
2011/11/01 Tue 12:18 URL [ Edit ]
baku
国民に充分な説明のないままに、政府がTPPを進めようとする姿勢は、主権者である国民の方を見ずに、恐ろしい存在のアメリカ様、を見ているからです。戦後ずっとそうかもしれませんが、日本政府は、「ポチ」のように忠実にご主人様の言いなりになってきたと感じます。
そして、モノが安くなるから良い、というお気持ちはよくわかりますが、価格を安くするには企業の効率化を進めなければなりません。そうすれば、関連企業や子会社、そして雇用や賃金などに、ツケが回ります。モノがどんどん安くなっても、それに比例して賃金もさらに下がることになります。
デフレスパイラルは、日本社会・経済全体の体力を加速度的に奪っていきます。
その辺も心配していかないといけないのではないかと思います。
そして、モノが安くなるから良い、というお気持ちはよくわかりますが、価格を安くするには企業の効率化を進めなければなりません。そうすれば、関連企業や子会社、そして雇用や賃金などに、ツケが回ります。モノがどんどん安くなっても、それに比例して賃金もさらに下がることになります。
デフレスパイラルは、日本社会・経済全体の体力を加速度的に奪っていきます。
その辺も心配していかないといけないのではないかと思います。
2011/11/02 Wed 10:58 URL [ Edit ]
baku
ブログの読者の方から、僕のコメントの中にある「恐ろしい存在のアメリカ様」の表現が、あまりに抽象的ではないか、とのご指摘を受けました。
説明しますと、過去のアメリカのやり方をみると、すべてにおいてアメリカ本意で、やりたい放題に、世界を動かし、時には平気で原子爆弾や枯れ葉剤を使用してきた事実が、あります。自国の利益のためには、手段を選ばない、そんな国家がアメリカだと認識しています。特に嫌悪するのは、自国が優位に立つために「大義」を掲げながら、正当化しながら、悪事をすすめるところです。
ということを「恐ろしい存在のアメリカ様」と表現しました。つたない文章でいつもすみません。賛否はどうあれ、ご理解をよろしくおねがいします。
説明しますと、過去のアメリカのやり方をみると、すべてにおいてアメリカ本意で、やりたい放題に、世界を動かし、時には平気で原子爆弾や枯れ葉剤を使用してきた事実が、あります。自国の利益のためには、手段を選ばない、そんな国家がアメリカだと認識しています。特に嫌悪するのは、自国が優位に立つために「大義」を掲げながら、正当化しながら、悪事をすすめるところです。
ということを「恐ろしい存在のアメリカ様」と表現しました。つたない文章でいつもすみません。賛否はどうあれ、ご理解をよろしくおねがいします。
2011/11/05 Sat 07:31 URL [ Edit ]
E.Hエリック
私達はとんでもない政党に政権を委ねてしまったのですね。かといって、あのまま自民党でよかったとは思いませんが・・・。
でも、こんなはずではなかった・・・という思いです。1人目、二人目もひどかったですが、三人目の首相はとても危険な人に権力を与えてしまったような・・・気がします。
市民がもっとしっかりと意思を表示していかなければならないと思います。
先ず始めに、脱原発の意思を表すべく、車の後部に脱原発のシールを貼付しようと思います。1人から始めようと思います。同志がいてくれることを期待しつつ・・・です。
でも、こんなはずではなかった・・・という思いです。1人目、二人目もひどかったですが、三人目の首相はとても危険な人に権力を与えてしまったような・・・気がします。
市民がもっとしっかりと意思を表示していかなければならないと思います。
先ず始めに、脱原発の意思を表すべく、車の後部に脱原発のシールを貼付しようと思います。1人から始めようと思います。同志がいてくれることを期待しつつ・・・です。
2011/11/07 Mon 22:44 URL [ Edit ]
仙台金四郎
E.Hエリックさんの提案に賛成で、私もやってみます。
ただそういった一種の広告的行動よりも効果的なのは不買だという説があります。
小関さんに迷惑がかかっては悪いので社名は出しませんが、原発を一貫して推進・擁護してきた某新聞、原子炉で儲け家電で儲けてきた大手企業数社、福島原発事故後も電気自動車の広告を出す自動車会社等に対する不買カキコがネット空間に広がりつつあります。
ただそういった一種の広告的行動よりも効果的なのは不買だという説があります。
小関さんに迷惑がかかっては悪いので社名は出しませんが、原発を一貫して推進・擁護してきた某新聞、原子炉で儲け家電で儲けてきた大手企業数社、福島原発事故後も電気自動車の広告を出す自動車会社等に対する不買カキコがネット空間に広がりつつあります。
baku
「脱原発」は、多大なメリットを受ける団体や企業、政治家以外は、反対する理由がないと思います。あるとすれば、脱原発以降の電力が心配だと言う国民や企業ではないかと思います。原発を廃止して本当に電力は不足するのかと言うと、そうではない、という識者も多数います。現に、今夏の電力消費のピーク時に稼動していた原発は54基中15基で、実に39基は、休止していたと言うことです。電力会社の情報に惑わされることのない、そもそも原発以外の発電力はどれ程なのかを、しっかり調査する必要があると思います。その上で日本国土に合った代替できる発電方法を選択していくべきだと思います。
2011/11/17 Thu 10:29 URL [ Edit ]
仙台金四郎
「代替発電の推進」はいまや自民党系政治家さえ言ってます。
山形出身の御用評論家が「雪かきで、毎年けが人や死者まで出たことからの類推で、太陽光パネルの掃除を自分でやろうとするお年寄りの中に、毎年のように死者がでるのではないか」と書いていたようですが、こういう手合いは例外でしょう。
有望な代替発電方法が開発されていない以上、問題は痛みを伴う省エネをやれるかどうかだと思います。
政治家がオール電化住宅や電気自動車に対する態度を明示すれば減る票はあるでしょうけれども、増える票もあるはずです。
「国は依然として、焦点のぼやけた動きをたらたらと続けている」というご指摘はごもっともと思います。ただ、舵取りをしている政治家のポリシーがはっきりしなくてはそうなるのも無理はありません。
山形出身の御用評論家が「雪かきで、毎年けが人や死者まで出たことからの類推で、太陽光パネルの掃除を自分でやろうとするお年寄りの中に、毎年のように死者がでるのではないか」と書いていたようですが、こういう手合いは例外でしょう。
有望な代替発電方法が開発されていない以上、問題は痛みを伴う省エネをやれるかどうかだと思います。
政治家がオール電化住宅や電気自動車に対する態度を明示すれば減る票はあるでしょうけれども、増える票もあるはずです。
「国は依然として、焦点のぼやけた動きをたらたらと続けている」というご指摘はごもっともと思います。ただ、舵取りをしている政治家のポリシーがはっきりしなくてはそうなるのも無理はありません。
cocopapa
野田さんはアメリカに舵を切ったということでしょう。国防の件、沖縄の件、全て絡みなのでしょうが、TPPに参加したからと言って農産物の関税撤廃と即なるとは考えずらいです。ここからが政治家の交渉力になるのでしょうが、黒船がきた時のように「浦賀奉行」みたいに粘り強く交渉できる政治家がいればいいのですがね(笑)
2011/11/26 Sat 22:03 URL [ Edit ]
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