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2006.08.24 少年時代…夏
 山深い温泉場、そのみやげ屋の息子の夏は、いつもエキサイティングだった…。
 といっても午前中は殆んどみやげ屋の手伝いをしなければならなかった。小学3.4年の頃には、もう接客やレジを手伝っていた。
 「いってっぞぉーっ」店の前を、川をせき止めたプールの方へ友だちがパンツ一丁で駆け抜けていく。「かぁちゃん、僕も早ぐいぎってぇー」「だめだ、昼までちゃんと手伝え!」厳しい母はいくら頼み込んでも、「決めたことは守れ」の一点張りで許してもらえなかった。「何でウチは、みやげ屋なんだぁ!みんなあそんでんのに僕だけ手伝い…」ずっと思っていた。
 でもこらえきれず、時々隙を見てはダァーッと逃亡した。背中に、「こらーっ、戻ってこーい!」と温泉じゅうに響き渡る声が突き刺さる。
 母の大声がだんだんフェードアウトしていく辺りに僕らのプールがあった。母の声とともだちの歓声が入れ替わると、僕はハイテンションの「遊びモード」になり、助走をつけ勢いよくそのまま「ザッブーン!!」と川に飛び込むのだった。
 飛び切り冷たい川の水だったが、もう早くみんなと一緒に遊びたい一心なので、そんなことは全然気にならなかった。
 一通りじゃれ合って遊んだ後は、中学生や小学高学年の人たちのいる滝壷の方へ行って、遊ばせてもらった。
 落差20数メートルの「白金の滝」は、大人になった今でも、一番気に入っている場所で、そこには、特別な思いがある。
 僕たち小さい子どもにとって、滝壷で遊ぶことは憧れだった。「いつか、兄ちゃん達みたいにあそこで遊びたい」といつも思っていた。その能力がつくまで、兄たちは絶対入れてはくれなかった。「あいつは、大丈夫だ」と認められると、最初は「体験入学」のように遊ばせてくれた。
 滝壷はかなり危険な場所なので、彼らに「遊び方」を丁寧に教えてもらった。過去にいろんな事故があったらしく、彼らも自然に慎重になっていったのだろう。今と違ってすぐ「禁止」にならないところが、実にいいよね。

 そして、僕はある日ついに、「滝壷デビュー」することになった。

つづく…。


 
 
 
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